ヒトリゴト。
Let's talk about What you love.
2/28(土)--------------------------------------------------------------------------------
早いもので来週末はもう開幕戦。でも予想展望は他所にお任せ。見てみりゃ判ることだし。
ところで、来月1日から転職につき暫く忙しくなりますので、連載(↓)開始は早くても4月になりそうです。
■小ネタ。
●経験者は語る。
'I'd be happier to be quick in Melbourne and have
no reliability than to be reliable and slow. Then we'd know we have a
strong car.'(F1Live,
Feb.27)
クルサード氏のこの科白、1998年のマクラーレンに乗った経験あればこそという気が(笑)。あの年のMP4-13はとてつもなく速くそして素晴らしく壊れやすかったけれど、それでもタイトル獲りましたね。
●英国GPのセンターアクセス券廃止
F1Racing誌の報道によると、今年から'Center Transfer
Ticket'(ページ中央参照)が廃止されるらしい。つまり、中央エリアに観客が入れなくなる。シルバーストーンの何がいいって、あの中央部をうろうろできる大らかさなのに。中央部は今後、チーム&ゲスト専用になるそうです。(じゃあ今年はチャリティーライブもなしか?)
■F1Racing3月号より抜粋 −その1
●2004年チーム・ドライバー紹介
マレー・ウォーカーの感想付で各チーム1ページずつに纏めている。5点×5項目(ドライバー・エンジン・タイヤ・空力・メカニカルグリップ)のペンタゴン評価がわかりやすい。トップ3は23点ずつで並ぶが、フェラーリの不安がタイヤであるのに対し、ウィリアムズはドライバーと空力、マクラーレンはドライバーとエンジンとなっている。ルノーが22点(ドライバー:-1,
エンジン:-2)、BARが19点(ドライバー:-2, エンジン:-2, 空力:-1、グリップ:-1)あたりまでは納得するとして、ザウバーが同じく19点(ドライバー:-2,
タイヤ:-2, 空力:-1, グリップ:-1)なのには少々首を傾げるが。
その他、チーム間での人材の移動(ドライバー&スタッフ)も1ページに纏められていて参考になる。
●チーム別ペアリング・ランキング
要するに、04年ドライバーのチームメイト同士の相性診断のようなもの(笑)。ジャーナリスト、チーム関係者、元&現ドライバーの中から選んだ24人に1〜9点(9点がベスト)で各ペアを評価させている。
結果は上からフェラーリ(198pts)、ルノー(172pts)、マクラーレン(171pts)、ウィリアムズ(162pts)、BAR(101pts)、ザウバー(98pts)、ジャガー(84pts)、トヨタ(74pts)、ミナルディ(24pts)。ジョーダンは投票時点でドライバーが決定していなかったため除外されている。
ただしこの試み、誰がどのペアに何点入れたのかとその理由が明かされていないので、評価基準がいまいち判らない。たぶん最も効率的=タイトル奪取に最強なペア、ということなのだろうが…。
●サーキット・ランキング
新しい2つのサーキットを除く04年F1開催地16サーキットを、これまた関係者に投票させた結果発表(この手法好きだなF1Racing…)。堂々トップは復活したスパで、2位は嬉しい鈴鹿。伝統のモナコがしぶとく3位、4位のブラジルは個人的にはちょっと以外だった。次いでモンツァ、セパン、アルバートパーク、ジル・ヴィルヌーヴ、シルバー、カタルーニャ、イモラ、インディ、ハンガロリンク、ニュル、マニクールときて、ドン尻がホッケン。「森の中を全開で駆け抜ける魅力は失われ、オスト・シケインの迫力あるブレーキング競争もなくなった。現在のホッケンハイムはゴーカートコースだ」。改修によるメリットもフォローしながらも厳しいコメントには諸手を上げて賛成する。鈴鹿の130Rの名はコース図からは消えたけれど、チャレンジングさは微塵も失われていないと有難い評価。
各コースの紹介が詳しいので、GP観戦の際に役立ちそうだ。
2/25(水)--------------------------------------------------------------------------------
タグホイヤーF1撤退。F1の公式計測=タグホイヤー、だと理解していたのでちょっと驚いた。そうか、あれも契約によるもので恒久的なものじゃないのよね(あたりまえ)。F1のおかげで、タグホイヤーの計測技術にものすごい信頼感をもつようになりました。根拠はないんだけど(笑)
後任にはスウォッチという案が有力だそうな。(セイコーとかシチズンとか如何?>FIA)
■ジェンスの野望
「勝てるチームを創りあげるほうがずっとやりがいがある」との発言がこっそりF1Liveに載っていた。(記事下方)
ミヒャエルが成功してから、誰も彼もそこに魅力を感じているようだけれど、これまでミヒャエル以外に成功した人っているのかな、と、ぼそり。
これは別にミヒャエルのドライバーとしての能力が特別凄かったと言いたいんじゃなくて、フェラーリの成功は、あれだけの人材が一堂に会したこと、失敗を重ねてもその信頼が揺らがなかったこと、よって組織が瓦解しなかったこと、に尽きると思うのですね。そしてそれはいっそ奇跡ともいえる現象だったのではないかと。すべてのベクトルが一つの目的に集約されていた。執念に近いものがありました。ミヒャエルという個は、その執念を具象していた。
同じだけのドライビング能力と、同じだけのマネジメント技術(というかスタッフひとりひとりへの思いやり)を備えたドライバーがいたとして、同じように優れたスタッフが集まったとして、同じように劇的に、憎まれるほど強いチームを創りあげられるかどうか。同じだけの執念を、持ちつづけられるかどうか。私は懐疑的です。流動性・不確実性の高いF1の最先端で、ひとつの流れを継続することほど難しいことはないのではないかと思うのです。
歴史は繰りかえすというけれど、真似をしていたのでは新しいものは生み出されない。ミヒャエルを見ていたのでは、ミヒャエルを超えることはできない。もっとも、これは私の願望であるかもしれませんが。
ホンダもトヨタもルノーも、野望を抱いています。マクラーレンもウィリアムズも、復活を狙っています。誰にしろ自分なりの、自分たちだけの取り組み方で、頂点を掴んで欲しいものです。
2/22(日)--------------------------------------------------------------------------------
■ラルフよいったい何処へ行く?
なーんかそろそろ引っ込みつかなくなってませんか、御両人。
ラルフがフランク・ウィリアムズを批判して曰く、「鈴鹿で契約交渉は大詰めを迎えるはずだったのに、フランクは来なかったうえ、提示していた契約条件を撤回した」ので「人間として失望した」と言い切った――と、ビルトが報じたと、BBCとAutosportが騒いでいる。RTL内のラルフのHPに言及はなく、RTLのF1ニュースでは英国2社と同様の内容と見受けられる記事が一本。ビルトのHPでは確かにラルフへの大型インタビューがトップ扱いになっているものの、内容はどうやら「兄との対決」が主眼のようで、この記事中に契約に関する質問があったのか、まったく別のインタビューなのかは判らない。
この場合、問題なのはラルフが実際何を言ったかということよりも、発言の中で大きく取り上げられた内容が、どうみても交渉に有利な状況をもたらさないだろうことだ。これで昨期のラルフの成績が文句のつけようもないものならともかく、現状から見ればあまりに不用意にすぎる。
ウィリアムズに関しては、チームもドライバーも、一位指名はもう決まっていて、要するに両思いだろうと私は勘繰っている。お互いにお互いのプライドを傷つけない折衝点をみつけるためにあれこれ言い合っているのだと、これまでたかを括っていたのだけれど、このまま行くと本意ではないのにさようなら、という羽目になりかねない。
今後のことを思えば、ラルフにはウィリアムズに残ってもらいたい。それが彼がチャンピオンになる近道であると同時に、おそらくは唯一の道だろうから。
2/21(土)--------------------------------------------------------------------------------
■ヘレス、再考。
そういえば、このサイトで話題にしたことはなかったな、と思いまして。
97年ヨーロッパGP、はミヒャエル・ファンとして最も忘れ去りたいレースかもしれませんが、絶対に忘れてはならないレースのような気もします。事件直後のヒステリックな感想から、現在の分析的思考に至るまで、あれこれ思い巡らしてきた膨大なメモが手元にあります。貪るように読んだ本があります。いつか、纏めてみたいと、構想だけがずっとありました。
どうしても考えてしまうのは、何故あの事件があれほどに騒がれたのか。騒がれなければならなかったのか。今になってみると、ファンもメディアも常軌を逸していたとしか思えない部分は多々あります。私もまた、冷静さを遠くの棚に放り投げてしまっていました。実際に何が起こったかを論証せず、感情論だけで誰もが突っ走っていた。おもしろい現象でした。
これまでヘレスの感想を述べてこなかったのは、いま私の考えを書こうとすると、どうしたって6年分の試行錯誤の果てのものになってしまうからです。単なる結果論だけで終わらせたくなくて、手をつけられずにいました。
そろそろ、重い腰をあげようかと思います。
結論から言えば、私はあの事件を「故意」だとは考えていません。「未必の故意」か、「認識のある過失」だと考えています。この理解は事件直後から多少のぶれはあれ、変わっていません。
その、根拠、といいますか。私がそう考えるに至った道筋を、一年かけて少しずつ紹介していければと。
→「ヘレスの記憶: 連載予告」(別窓開きます)
連載だの予告だのは自分の首を締める行為だと身に染みて解ってますが、自分に拍車をかけるために敢えてやっておきます(笑)。
情報源は書籍・雑誌・ウェブ情報・当時のビデオなどです。細切れ情報を継ぎ合わせているので、時間かかってますが、今年中には終わらせる予定。ちなみに、連載の全体像は執筆者(つまり私)にも未だ見えてきません。…大丈夫か(^^;)
2/17(火)--------------------------------------------------------------------------------
■永遠の一瞬
昨夜の「孝太郎が行く」(フジTV、ゲスト片山右京)を見た。
小泉孝太郎はモータースポーツについては完全に素人だ。その所為もあってか、右京さんの飾らない人柄が前面に出た仕上がりとなった。
「根底にあるのは情熱。どんなに周りの人を尊敬していても、1%は唾吐いて、絶対負けねぇぞ、って」
「幾つになっても挑戦することが大事」
「大事なのは(才能やテクニックよりも)続けていくこと。拘り、情熱といった人間性。10年続けてみて、それで駄目でも、好きならば続ければいい。世界でいちばんにならなきゃクズかっていうと、そうでもないでしょ」
「逃げない、俺は諦めない」
自らを究極の負けず嫌いと称す右京さんは、ずっと、『もっと大事なもの』を探しているのだという。見つかるまで、できるかぎりのことをして、探すのだという。それが具体的にどんなものか、彼は言わなかったけれど。
この人の言葉ではなく、生きる姿勢そのものに励まされたことがある。あるがままに物事を受けとめ、客観的に考えて、先へ進む。前向きに考える。簡単なようでいて難しく、難しそうでいてたぶんやってみれば誰にでもできること、のような気がする。
上記の「永遠の一瞬」という言葉のあとには、こんな説明が続いた。
「(辛い時間というのはずっと長く感じるものだけれど、)でも、一瞬なんだよね。F1乗っててクラッシュするのも一瞬なんだよね。…生きているのも、一瞬なんだよね。」
→笑ったエピソードをひとつ。エベレストに挑戦した右京さん、「頂上に立ったら、シューマッハーに電話して、お前ここまで来れるか、て言ってやるつもりだったんだよね。勝ったぞ、って」
だけど失敗しちゃったから、やっぱり負けたなと思った、そうな。「でもまた次があるから」。…是非。(笑)
※文中の右京の科白は番組中のものを書き取ったメモからの抜粋です。実際の発言と多少異なる場合がありますが、ご了承ください。
2/13(金)--------------------------------------------------------------------------------
>ラルフのインタビュー(byアレン)。日本時代のことにちょびっとだけ言及している。
>新しい二つのサーキット、ITV-F1の図解が判りやすい。観戦のおともにどうぞ。→ バーレーン
/上海
■ジェンスに関する回想。
"He made his Formula 1 debut in 2000, for Williams,
and straight away the British press started calling him 'the next Senna'.
And I have to say that was ridiculous - how could they know?"
(ミカ・ハッキネン、F1Racing 3月号より)
ミカは続けて、「そりゃ英国プレスにとっちゃ次代のマンセルやらヒルやらを見出すのに必死なわけで、ジェンスみたいな若者がウィリアムズなんてトップチームに起用されたとあれば騒ぐのも無理ないけどね」。
ジェンスのデビューは2000年で、その年の春から私は一年半の英国暮らしをスタートしている。確かにメディアの熱狂ぶりには「引いた」記憶があったので、当時の記録――日記ともメモともつかない束――をひっくり返してみれば、「mega
star」「our Jenson」「the champion in the future」など、酔っているとしか思えない表現が"(苦笑)"とともに記されている。だがその割に、ジェンスに関する記述そのものは少ない。はて、露出は毎回だったはずだが…?と首を傾げて、ある一文に気がついた。
「へぇ、今日は珍しく『ジェンス特集』じゃないのね。」(@スペインGP直前メモ)
……つまり、当時の私は彼らのジェンス狂いっぷりが気に食わなかったらしい。何かとミヒャエルと引き比べられるのへ、「彼はこれが13戦目。ミヒャは本気でデビュー戦」(@スパ予選後メモ)と文句をつけていたりもする(笑)
別にその所為というわけではないが、実はこの年のF1Racing誌は殆ど手元にない。情報はAutosport誌を毎週買っていたし、F1Racingの長文と取っ組み合うほどの語学力もなければ暇もなかった。どうしても読みたい記事(主にウィンザー)だけは、立ち読みでカバーしていたが。惜しいことをしたものだ。
ジェンスが一転、お気に入りの仲間入りを果たしたのは、明けて2001年の1月11日、Autosport International ShowでのインタビューをBBCで見たのがきっかけ。
メモには、こうある。「尊敬するドライバーは、『ミヒャエル・シューマッハー。でも、いつか追い越して、僕がいちばんだ…って言いたいよね』『僕はむしろ彼のチームメイトになりたい。だって彼は現役最高だから。その傍らに身を置くことで、僕は自分を鍛えることができるし、何より彼を倒したいと思う』。若者が眸を輝かせてそう語る。眩しかった。輝かしいまでの、自信。希望。未来。強いまなざしに宿る無謀な光に、為す術もなく惹きこまれた。」
要するに、私はジェンスの小生意気な発言と表情とに、かつてのミヒャエルを夢想したのだ。ミヒャのその時代に私は間に合わなかった。或いはルーキーというのはたいてい大言壮語を吐くものなのかもしれない。しかし私にとって、実際に喋るところを見たのは、ジェンスが初めてだった。
ちなみに彼は、単なる身贔屓だけで英国プレスに人気があるわけではない。英国メディアでの彼の露出は非常に多かったが、それは彼がどんな忙しいときでも好意的に「チャット」に応じていたからだ。メディアを通して見るかぎり、彼のスタイルはとても「いまどきの若い英国青年」で、明るくて前向きで生意気で話が巧くて人当たりがいい、たとえばロンドンの街角にあたりまえにいそうなタイプ。親近感が湧くのだろう。それとナショナリズムとが一体となって、彼への期待が爆発するのだ。彼の前の「期待」が裏切られつづけている鬱憤も、あるやもしれぬ。
いっぽうで、彼が結果を求められているのも事実。ミカの言うように、今年はジェンスの試金石となる。チームは彼をNo.1としてバックアップし、エンジン屋・車体屋ともに将来をかけた真剣勝負をかけてきた。
期待どおりリードできるか、否か。それによって、彼が「僕がいちばん」と胸を張れる日が訪れるかどうかも決まるだろう。
2/12(木)--------------------------------------------------------------------------------
■ラルフの将来
フランク・ウィリアムズがBBCに語ったところによると、来期以降のドライバー・ラインナップは「ラルフが第一希望」とのこと(F1-Live)。おそらくTVのニュースか番組内で喋ったのだと思われるが、本家HPではジェンスにもチャンスがある、という部分にのみ着目したらしい。
ラルフにとってウィリアムズというのが最も現実的な路線だというのは以前にも言った気がするが、ウィリアムズにとっても同じだろうと思ってはいた。フェラーリが証明したのは、継続性の勝利だ。けれどフランクのこの発言でちょっとほっとしたのは、ウィリアムズというチームがハード重視の傾向が強かったため。最高のマシンをつくれば勝てる、それが彼らの信条だったはず。
もっとも、彼らが信条を曲げているとは思わない。「シーズン半ばにチームの成績を確かめて、それから金額について話す」とフランク。結果を残せなければ妥協点は見つからないだろう。
トヨタはラルフを欲しがっている。けれど空手でトヨタに行ったとしても、ラルフに何かができるとは、私には思えない。
まだ暫くは息を殺して様子見の必要があるようだ。
■ご参考までに。
先日書いたミカのドライバー&チーム評ですが、英語で3ページも読むの嫌だというひとのために簡潔に申し上げますと、次のような分類になってます。
*とにかく評価が甘い → キミ、DC、マクラーレンのスタッフ、フランク・ウィリアムズ、フィジコ、パニス、ダ・マッタ
*甘くはないが好意的な評価をされている → ミヒャエル、ウェバー、トヨタ
*辛口だが比較的公平な判断だと納得できる評価 → ルビーニョ、BAR、琢磨、マッサ
*どちらかというと好意に欠ける解説をされている → フェラーリ、アロンソ、ヤーノ
*けちょんけちょん → ラルフ、JPM、ジェンス、ジャガーのフロント、ジョーダン&EJ、ミナルディ
そりゃ言い過ぎだろ、という内容もありますが、ミカ・ハッキネンという人物を憎からず思っている人なら笑って流せるレベルです。…たぶん。
2/9(月)--------------------------------------------------------------------------------
また随分とアレなものを…。→●
■雑感。
ミカの発言がいろいろと世間を賑わしている。本来なら、元記事(F1Racing誌3月号)が手元に届くまでコメントは差し控えるべきなのだろうが、ITV-F1で記事(のおそらくは大部分)が紹介されているので、折角だから読んでみた。
(ちなみに、F1-Liveなどでぱらぱらと出ているミカのコメントのソースはこの記事です)
掲載されているのは、ミカ一人称による全チーム・全ドライバーについてのコメント(ただし、ジョーダンとミナルディについては熱意がないのが丸見え)。とても率直で人柄が滲み出るような文章だ。…でも、ちょっと身贔屓にすぎる?というのが一読しての感想。
評価は、長所と短所を織り交ぜているものの全体的に辛口で、忌憚ない。にも関わらず、マクラーレンに対しては一言も欠点に言及していないのだ。チーム然り、ドライバー然り。それでも厭味がないのは、のっけから清々しいほどあっけらかんと「隠す意味もないから正直に言うけど、僕はキミにタイトルを獲って欲しいと心から思ってるよ。」とバラしているため、だろう。彼自身が記事の頭に注釈しているように、すべては彼の「個人的な考えにすぎない」。参考にするのは自由だけれど、あれこれ騒ぐほどのことでもなかろうさ、という予想通りの結論に達した。
私は元々あまり他人の言うことに耳を貸さない性質だが(自慢にゃならん)、こと他ドライバー/他チームの評価となると、チーム関係者よりは圧倒的に記者の意見に重きを置く。チーム関係者は忙しいから、所属チームや同僚については詳しくても、他のチームのことまでさほど気にかけてはいられないだろうし、どうしたって公平性に欠けるというのがその理由だ。
もっとも、記者といっても限られたごく数人だけだし、評価対象によってはチーム関係者の意見が貴重な判断材料になることもある。それに、なにより基本的には自分の感覚が優先だ。できるだけフレキシブルに情報を仕入れて自分で判断すること、を心掛けている。
…実行できているかどうか、は、また別の話。
■ローブ2連勝
スウェディッシュ・ラリーは、マルティンが2日目午後(SS11)に雪に隠れた岩に激突して後退したため、ローブが開幕に引き続き優勝しました。スカンジナビア3国以外のドライバーがこの雪上イベントを制したのは、なんと初めてだそうです。
こっそり応援していたケネスは10位、アリスターは17位でした。
2/6(金)--------------------------------------------------------------------------------
■いつもの事ながらウラは取ってません。
「ホンダ撤退!?」のニュースを最初に見たのは、5日のAtlas-Reutersの記事だ。HRD副社長のSzafnauer氏がAutosport誌(毎週木曜発売)に語ったとして、"The
current contract is through to the end of 2004 and the contract review
will happen in the first half of the season,""By Silverstone
that decision will be made."
おそらく氏の発言は、BARのラウンチ報告の記事中のものと思われるが(参照)、この発言について、直球勝負で訊いてみた。
「要するに気持ちの問題だよ」と第一答。F1を止める止めないという議論ではなく、「このままいつまでもずるずる続けていても無駄だから」、はっきりとした到達目標を至近に定めて、もし達成できなかったら「このままBARと組むのか、乗り換えるのか、止めるのか、今後の方針を決めましょうということ」で、どちらかというと士気を鼓舞する意味合いが強いという。
「開幕3戦の結果次第で、だいたいの展望は見えるだろう。今年はせめて一勝はしないと」
発言者とされているOsmar Szafnauer氏は、HRD(Honda Racing Development)の"Vice President"と紹介されているが、ホンダF1のHPに名を見つけることはできない。検索すると、GrandPrix.comの過去記事(2002年4月15日付)に就任のニュースがあった。Honda
R&D Europe Ltd.(UK)において、タナカショウイチ氏の下、初代副社長に就任とある。田中氏の名前はホンダHPの2000年F1参戦体勢発表の記事中にあり、「英国ブラックネルのF1前線基地・Honda
Racing Development Ltd.の社長」となっている。
ブラックネルは、英国ホンダの本拠地で、精密機器関連の会社が集まっている一大工業タウンだ。ロンドンから車で30分強、列車でも1時間程度の距離にあり、あのアスコット競馬場のすぐお隣。ウィンザー城も近い。森に囲まれた小さな町で、静かなエリアだったな、とふと思い出したり。
■スウェディッシュ・ラリー
現在SS4まで終わって、マルティン(Ford)、ローブ(Citroen)、ソルバーグ(Subaru)、サインツ(Ctroen)の順。順位表を見るに今回はフォードが調子よくてプジョーが悪いっぽい。ガルデマイスターはまたお預けなので、ケネス・エリクソンとアリスター・マクレーをこっそり応援。
●リチャード・バーンズ公式サイト
脳腫瘍(星状細胞腫)で昨年11月に倒れ治療中(参照)のバーンズの公式サイト。現在ニュース等の更新はないが、自分が怪我魔のサッカー選手のファンをしているので、こういう情報は追ってしまう癖があります。何かあったら報告が載るでしょうしね。
2/3(火)--------------------------------------------------------------------------------
テスト結果が騒がしい今日この頃ですが、評価はいざ本番の幕が開けてから、との姿勢には変わりなし。ミヒャエルやDCの進退に関する各者コメントについても、本人が辞めますと言い出さないかぎり騒ぐ気はありません。
んが、モズレーのこの発言は流石に悲しかった。
"'Even David Coulthard,' he added almost as
an afterthought."
今年ミヒャエルがタイトルを逃すかもと予測した上で、勝者はJPMかラルフかキミか、と並べた後に、「考え直したように付け加えた」。…どぉせ期待されてませんよーだ……。
■F1Racing 2月号、その他の記事より
●「スーパーマリオ」…BMWのタイセン博士のインタビュー(A.ヘンリー)。ウィリアムズとの共同開発契約締結までの裏話と、BMWエンジンの開発について、JPMの移籍、そしてラルフへの期待。
開発協力に関する話し合いに時間がかかった理由は、「フランクとパトリック、ゲルハルトと私の4人だけで全てを決めてはならないと考えた。お互いに中心的な役割を果たすエンジニアたちを交渉の座に加えて初めて、F1チームとしての理想的な将来像が描ける。実際に仕事する人間が理解しサポートしてくれなければ、新しいアイディアも役には立たないからね。」
エンジン開発について。「チーム外から『F1の専門家』を集めることはしたくない。BMWウィリアムズというチームのために全力で貢献できる人々だけでやっていきたいんだ。そうすることによってチームはひとつになり、開発のスピードも上がる。そして最先端のエンジンを作れるというわけさ。」
新エンジン・ルールについて。「ルール変更を見た当初は、300km走るエンジンを800km保たせるとすれば10%はパワーが落ちると思った。でも実際はそれより少なくて済むんじゃないかな」とウィンク。「でも、これが根本的なコスト削減に繋がるとは思っていない。そもそもこのルールは安全性のためスピードを落とすのが導入の目的だったのだし。本気でコストを減らしたいならテストの回数を抑えるしかないだろう。」
JPMの移籍については、「どうせ移籍するなら、うちでチャンピオンを獲ってNo.1として出てって貰いたい。」
そして、最後にラルフ。才能はあるし、まだまだ成長途中だと述べた後で、「国籍に関する好み? うちが獲得できる中でベストのドライバーであれば誰でもいいよ。もしそれが偶然ドイツ人だったりするおまけがつけば嬉しいけどね。」
とくに目新しい内容ではないが、この人がいればBMWは大丈夫、という印象をうける。終始冷静かつ慎重な受け答えタイセン博士はしかし、よく笑う、らしい。声をあげて笑ったり、にやりとしたり、くっくっと肩を揺らしたり、ヘンリーに「お茶目」呼ばわりされていた。
●バーレーンと上海のサーキット紹介
コース図と攻略データが掲載されている。設計者は新ホッケンハイムリンクと同様、ヘルマン・ティルケ氏。1速から7速まで、形状も様々なコーナーが散りばめられているが、一目で同じ作者の手になるものと判る。全長は4.5km前後(予想)、どちらかといえば短めという程度だが、ぱっと見、コンパクトな印象だ。かつての「長いストレートで速度の限界に挑む」タイプのサーキットはもう用無しなのだとの印象を強くした。
●その他の記事
キミ&マクラーレン、マクラーレンvsユーロファイター(戦闘機)の比較、ルノーの新車開発話、ジャガー&ウェバー、ダ・マッタ、ザウバー&ドライバーズ、エリオ・デ・アンジェリス。インタビューはEJとジャン=マリア・ブルーニ。
2/1(日)--------------------------------------------------------------------------------
■イモラは今年で最後。
バーニー・エクレストンが昨日ガセッタ・デロ・スポルト紙(伊)に語ったという、来年からイモラでGPを開催しない「理由」は、"in
the next 10 years, Europe will slide down to the level of the third world
in economic terms."
次世代F1開催候補地とされる国々(バーレーン・中国・トルコ・韓国・インド)を見れば、彼の目論見は判りやすい。つまり、「F1」を自由経済の「商品」として捉えた発想である。
欧州各国で観客動員数が落ちてきた原因は、単にフェラーリの独走にあるのではなく、不況によりファンの財布の紐が固くなったと考えていい。欧州のファンは既にF1の何たるかを知っているから、わざわざ高いチケットを買って追い抜きのないレースを見るより、居心地のいい自宅のソファとTVセットを選ぶ人が増えても、致し方ない。だったら、TVで観たことはあっても実際に本物に触れたことのないアジアの国で開催すれば、経済効果も見こめて一石二鳥ではないか。…こんなところだろう。
F1が新しい開催地を開拓するのは、いいことだと私も思う。だが、F1というのは結局のところ西欧の文化であって、精神的な意味で骨の髄までヨーロッパ的なものだ。それをそのまま他所へ持ってきたところで、アジアに根付くとはとても思えない。鈴鹿はこれまで16回の日本GPを迎えたが、モータースポーツは日本の文化の一端になっているだろうか?熱狂的なファンがいるだけでは不十分なのだ。
モータースポーツの母国と言われる国の生活には、モータースポーツが溶けこんでいる。馴染んでいる。こういった社会の在り様こそがモータースポーツ文化の屋台骨。それを持たない国民からすれば、羨ましいし、大事にして欲しい。もしF1の「世界進出」が、ルーツである欧州社会を切り捨てるものだとしたら、厄介だ。屋根や壁の塗り替えに夢中になっているうちに、床が抜けたりする羽目にならねばいいのだが。
■ウィンザーの琢磨評..F1Racing 2月号より(月を跨いじゃいましたが、もう1回くらい続く予定)
ウィンザーは琢磨を「気に入っている」、これが、5ページの記事を読んでの感想。
「ステレオタイプの表現は使いたくないけれど、彼はとても日本人らしい態度の持ち主だ。努力を惜しまないし、やり遂げなければならないことに対してはとことんまで取り組む。それは彼が自身を西洋の生活様式に慣らしていった過程や、流暢な英語を習得した方法からも見て取れる。」
「とても成熟した人間で、BARホンダにとってかけがえのない存在だよ。とても速いし、結果はちゃんと出すし、何よりBARとホンダの間を取り持とうとする覚悟がある。二つの会社が組んだ当初からずっと必要としていた架け橋となれる人材なんだ。」
ウィンザーの語り口からは、大胆さと繊細さを併せ持ったドライバー像が浮かぶ。そのドライバーに、ウィンザーはホンダとBARの架け橋となり、牽引力となることを期待している。誉められるのは素直に嬉しいが、あまり高い評価もちょっと怖い。
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