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2003


ヒトリゴト。
Let's Talk about What you like.

1/25(土)-------------------------------------------------------------------------------

■争点

一昨日、思いがけず知人と連絡がとれた。信用度と公開の是非については、こちらは専門的なことは門外漢だし、どこか確認をとれるソースが他にあるわけでもない。ただ、先週末に記した不安と知人の話に符号する部分があったので、紹介する。あくまで『また聞き』にすぎないので、取り扱いには御用心。

エンジン屋としては、21日のリリースによって、今期(2003年)に関する心配はとくにしていないようだ。ただし、今後の改正が現状の発表のとおりにいくならば、「正直、やってられないね」。
「6レース保たせるってことは、少なくとも5000km以上をひとつのエンジンで走るってことになるけど、今の技術じゃそんなF1エンジンはつくれない。現在の出力を保持しつつ、コンパクトで耐久性のあるエンジンをつくるには、現存する材料じゃ無理だ」
「どうしてもそれだけの走行距離を稼ぐとすると、馬力は今の半分近く、1万回転くらいまで落とさなきゃならない。本体も大きく頑丈にしなきゃならないから、ル・マンのエンジンみたいになるだろう」
では、代替材料の開発はできないのだろうか?
「数年では実用化は不可能だし、研究には莫大な費用がかかる。設備、研究、人件費…何億、何十億だ。エンジン一基、簡単に見積もって数千億円かな。そんなお金、企業にはないよ。ただでさえ不況のせいで(開発費用は)削れるところからどんどん削られてるんだから」
「そのくらいなら、いっそF1なんかやめて、ル・マンに出たほうがましだっていうのが、ルノーを筆頭にメーカー側で出されてる意見なんだけどね。そんなかんじで未だに話し合いを続けてる状態だから、どう転ぶかはまだ俺らにも判らないよ」

■アニエリ氏の死去

新聞を開いて、げ、と思った。彼については、正直、フェラーリの大ボス、という程度の知識しか持っていない。けれど、困難な時期にミヒャエルを擁護する発言が大きく報道される程度には、かのチームに影響力のある人だと思っている。これが、チームにどんな影響をおよぼすのか。
イタリアも景気は決してよくはない。そういう意味で、気になるニュースではある。

■モンテカルロ

さて、いよいよ始まりました。レグ2(SS10)まで終わって、コリンちゃんは1分差の2位。トップはローブ、3位がサインツと、シトロエン勢の1-2-3です。SS8まで先頭をかっとばしていたグロンホルムは、岩にヒットして30分のロス。15位まで転落しました。残るSSは4つ、さてコリンちゃん初のモナコ制覇はできるんでしょうか。
最新情報はこちらからどうぞ。→


1/18(土)-------------------------------------------------------------------------------

■外は、嵐。


…それもどうやら最大級の砂嵐でもやってきているらしい。最初、いろいろと知人を質問攻めにしようかとも思ったのだが、しばらく考えてやめた。関連のニュースは湧き水のように溢れ続けているし、お互いのもつ情報が刻々と変わるなかで、のんびり記者ごっこをする意味はあまりない。それに、訊ねる内容が核心であればあるほど、どうせまともな返事はかえってこない。私にとっては趣味でも、彼にとっては違う。そのくらい判っている。

現時点で、すべてのコメントに目を通せてはいない。あまりに量が多いのと、私自身の手が今ちょっと空かないのとで、後回しになっている。カードが出揃っていない状態で口を挿みたくはないので、多くは語らないが、今現在私の腹の中にあることを書き残しておくのも大切かもしれないので、少しだけ記す。

第一報を目にした印象は、「こう来たか」だった。発表された新レギュレーションは、完全に10月のモズレーの構想を踏まえている。だからそれほど驚かなかった。初めから諦めるつもりなどなかったということだ。
レギュレーションの変更そのものについては、とくに拒否反応もない。長いF1の歴史のなかで私がこの目で見てきたのはたかだか10年に満たないし、その短期間にもたくさんの変更はあって、そのたびそれに慣れてきた。そういうものだ。ただ、今回のはちょっとした激震ではある。
個人的にぎょっとしたのは、エンジン供給に関する変更点。これが現実に導入されるとなると、エンジン屋はきつくなる。妥協せざるをえなくなる。今のF1は精密機械だ。マシン・エンジン・タイヤ、そのすべてがうまく噛みあってはじめて本当の力を発揮する。だからこそ、のお互いの密接な関係だ。新ルールはその蜜月の終わりを意味する。チームはそれでも生き残るだろう。ミヒャエルが言うように、それほど大勢に影響も出ないだろう。だが、エンジンメーカーにとってのF1参戦の意味はまるで変わる。彼らは、それを良しとするだろうか。まぁ要するに、代理戦争を防ぐ手立てのひとつなのだろうが。
F1というスポーツを愛し、そこで生きる自分に誇りを持っているのは、誰しも同じ。だから、ここで起きる揉めごとや紛争は、決して闇雲な衝突では終わるまい。カンフル剤のようなものだ。部外者は、それが劇薬でないことを祈るのみ。結局のところ、たとえF1がどう変わるとしても、なんらかの形で私がそれに関わっていくことは確かなのだから。

ITV-F1で、ジェームズ・アレンがコラムを書いている。明日にでも読んでみるとしようか。

■looks like...?

F1Racing 1月号、クリスチャーノ・ダ・マッタの紹介記事。筆者は彼に会うのは初めてで、初対面の感想が面白い。
『真っ先に衝撃を受けたのは、その顔立ちにだった。ヤーノ・トゥルーリとアイルトン・セナを足して2で割ったような感じだ。口元は紛れもなくヤーノのそれで、鼻筋はアイルトンのそれ。瞳は情熱的に鋭く、ふたりともに似ている。それに、思ったよりずっと小さかった。きっとパニスより10キロは多くバラスト(錘)が必要だろう』
実は、セナの瞳、というのはあまりよく覚えていない。どこかさびしそうに儚げに笑う印象しかない。ただ、口元は確かにヤーノに似ているかも、と思った。

■楽しみなもの

すっかり横槍がはいって読めずにいるが、F1Racing 2月号に、ロス・ブラウンの長編インタビューが載っている。
現場を取り仕切る人間の話は、ドライバーのそれとはまた異なった味がある。1月号のパトリック・ヘッドも同じ、目新しい情報がなくとも必ず何かひとつは発見があるもので、私はそれを楽しみにしている。
他に興味深いのは、ホンダR&Dの菊池氏のインタビュー。それから『F1の歴史に残る99人』という企画記事。もちろん我らが王様もランクインしているし、マレー・ウォーカーまでいたり、フィジケラが69位に入っていたりもする。特集はBARで、ジョフ・ウィリスの対談は読みたいもののひとつ。ジェンスの記事は写真がいい。
騒動がひと段落しないと読めないけれど、まだオフシーズンだし、のんびり行きます(笑)


1/16(木)-------------------------------------------------------------------------------

■成功の代償

F1Racing(英国版)1月号のフェラーリ特集『Room to improve』(Stephane Samson)を読んでの感想。
かわいそうなひとたちだなぁ、と咄嗟に思った。それが適切な表現かどうかは判らないけれど。

記事は、昨年のフェラーリの功績   15勝(うち1-2が9回)・27表彰台・PP10回・ファステスト12回・総合221ポイント・GPにつき平均13ポイント獲得   をあげ、ついで『ほとんどひとつの有機体のようなチームワークを持ち、グランプリを牛耳りながら、いまだ彼らは疑心暗鬼にかられている』と続ける。そして、ジャン・トッドのメンタリティに焦点をあててその猜疑心を紐解いていく。
筆者がトッドを評して曰く、"Almost pathological anxiety; near-compulsive work schedule; barely hidden hypersensitivity""He wakes up every morning thinking this day could be the beginning of the end. For him, today is just the start of what's left of Ferrari's era of domination."
トッド自身、記事の中で『表彰台の上で祝っている最中でも、私の頭の一部には常に次の目標や未解決の問題が巣食っている』『(冬の間は)開幕戦の予選が終わるまでは安心なんかできないよ。たとえシミュレーションやテストの結果がどんなに良くたって、笑いながら開幕を楽しみにするなんて無理だ。腹の底で恐れてるんだ』と告白する。
『将来何が起こるかなんて解らないからね。それが心配だよ。いつか必ずこの成功の日々は終わりを告げる。1ヶ月以内かもしれないし、1年、あるいは5年のうちかもしれない   ただ私は、いざそれが起こったときに、どう解釈されるだろうかと考えるんだ。我々は強くあらねばならない。いままで困難な時代にそうしてきたように、現実を直視し、克服しなくては』
記事はさらにこの考えかたはミヒャエルにも通じるとし、こんな発言を紹介している。
『物事がうまく行っていないときなら、問題に真っ向から立ち向かい状況をよくする自信があるよ。だけど反対に、何も問題なくすべてがうまく運んでいるとなると、不安になるんだ。悪いニュースや風向きの変化にものすごく気をまわす。理想的な状況なんて、些細なことですぐ台無しになるからね』

ここまでくると、病的だ。私は彼らがどれほどの苦労と努力を積みかさねて今の地位を築いたか、多少は知っているつもりだが、それでもこれはちょっと普通じゃないだろうと思う。低迷していた長い時代、勝たねばならないという重圧は、それほどに重かったのか。そうまでして勝ちつづけねばならないものなのか。
勝つことでしか自分を満足させられず、いつか来る終焉に怯える。サムソンが言うように、『シューマッハーもトッドもその他のフェラーリの面々も、F1の成功の歴史を   そして凋落の歴史を、知りすぎている』のだろう。
考えてみたらおかしなものだ。私たちファンも当事者たちも、絶頂にいながらにして奈落の底を垣間見て恐怖している。その高さに怯えながらなお上を目指し、と同時に、いつか奈落に転げ落ちるその日を覚悟しているのだ。


1/14(火)-------------------------------------------------------------------------------

■Deadly Obsessions

昨日、鈴鹿観戦記をどうにか書きあげましたが、書きながらモータースポーツってなんだろう、と考えていました。ダカールラリーで死亡事故が起きたり、同じ日に「F1ってスポーツなんだ」と知人に本気で驚かれたり、私がこんなにも愛してやまないモノの正体は、果たして何なんだろう、と。
上記の英語は、英国で購入してきた本の題名です。F1の歴史と事故と死とを紐解きながら、なぜ人はモーターレーシングに惹かれるのか、と問いかけています。残念ながら英語力不足のため途中で放りだしていましたが、ふと、また手に取ってみる気になりました。ぜんぶで21の章ごとに挿入されているドライバーたちの科白を読むだけでも、と思いまして。
別に確かなこたえが欲しいわけでもないんですけれどね。ただ、人間は状況に慣れゆく生きものですが、こればかりは慣れたくないのです。鈴鹿での私は、慣性に負けてしまっていたなという自戒の意味をこめて。

F1Racing(英国版)1月号読了につき、今週は感想などをちょろちょろと書いていきます。


1/3(金)-------------------------------------------------------------------------------

■10回目のハッピーバースディ


私がミヒャエル・シューマッハーという人間に出会って、もうそんなになります。はじめて会った時、彼は24歳の若者でした。その年齢を追い越すまで彼のことをこれほど気に留め続けるとは、その頃は思ってもみませんでした。
レースのレの字も知らずそれまで興味すら抱かなかった私が、彼の何に惹かれたのか、当時も今も、はっきり判っています。眸と笑顔です。バイザーの中の鋭いまなざしと表彰台の上での弾けっぷりとが好対照で、もっともっと見たいと、そう思ったのでした。
あと、何年。そんなふうに思いはじめて幾許かになります。会心のレースというものも、なかなか拝めなくなりました。いつか、すべてが止まる時がくる。それはきっとそう遠くない先のことでしょう。その日のことを考えると、心の底がしぃんと冷えて空恐ろしくなります。でも、だからこそ、今をしっかり見届けたいとも思います。
いつまでもずるずるとみっともなく齧りつくのでも、最強のまますっぱりと勝ち逃げするのでも、どちらでもいい。本人が納得してやることならば、どんな終わり方でも恰好いいはず。私はその生きざまを最後まで見ていこう。
そんなことを考えながら、今日のこの日をすごしました。

Thanks, dearest Michael, you have enriched my life so much.

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