◆◇ Visit to Michael
Schumacher Kart-Center ◇◆
● そしてドイツ人に混じってグランプリを観る。
食事が終わるか終わらないかのうちに、グランプリ中継が本格化した。それまでもなんだか番組自体はやっていたのだが、1時を過ぎてボリュームが上げられたのだ。
慌ててテーブルの上を片付け、ペンとメモ帳を出してTVを振り仰げば、スタジオゲストとしてルビーニョが映っていた。昨年の勝者ということで呼ばれたようだ。ただし、インタビューはすべてドイツ語吹替え。副音声で英語を拾おうと頑張ってみるが、店内のライブではどうにも対処のしようがなかった。
ハインツのニュース(このドイツGP直前に突然解雇された)はやはり衝撃だったようで、EJはインタビューに引っ張りだこ。他に、ハウグ、ミカ、ラルフ、そしてミヒャエルなどが直前インタビューに答えていた。ラルフはいつもITVが映すときのように眉根は寄っていたけれど、機嫌はよさそうだった。
ミヒャエルの話し方は、英語のメディアではよく“arrogant(傲慢)”だと表現される。そしてドイツ語のときはそうでもない、と人は言う。つまり英語をドイツ語風に喋るからじゃないか…というのが、私の知るドイツ語の堪能な英国人の分析だった。
でも、実際にドイツ語を聞いてみたかぎりでは、はっきりいって違いはわからない。その代わりといっては何だが、ITVに出るときに比べ、手がよく動いていた。かわいかった。インタビュー終了後、カメラに向かってグーサイン&ウインク、なんて光景は、さすがのITVですら拝めない。おまけに、そこはピットの真裏(ガレージ入ってすぐのパーティション裏)だ。中継だろうか、だったら随分サービスがいいものだ。ドイツ人に生まれたかったと埒もない考えが過ぎるのは、こういう瞬間。
◇◆◇
1時半になると、マシンは続々とコースインしていった。けれど、ピットクローズまであと19分という切羽詰った状況でなお、ラルフはインタビューに答えていた。これはITVより凄いかもしれない、と本気で思いはじめる。1分くらいか、ものすごくニコニコで頷いていた。(内容は例によって意味不明)
そしてなんとグリッド上でロスにもマイクを向けるに至って、確信する。…ITV負けてるぞ(笑)
ここで流れたビックリ映像、なんで兄弟が一緒に映ってるのこの期に及んで!? ...と思ったら、どうやらお兄ちゃんがラルフのところまでわざわざ声をかけに来ていたらしい。スタートのまさに直前、ゲルハルト・ベルガーにもインタビュー。スタンドにはいまだに『GoBerger』の旗があってちょっと笑えた。
スタートの瞬間、店内は突然の大盛り上がりをみせた。そして直後に巨大な悲鳴が響く。ミヒャエルのマシンが止まっていた。
皆が呆然と見あげる画面の中、ブルチを慰めて(あるいは注意していたのか?)ミヒャはピットへ歩いて帰る。その道すがら、赤旗の提示。ミヒャエル、走る。店内、大歓声と拍手の嵐。私も負けずに拍手拍手。あー…よかった。
レースの最中、時折チームのラジオが入ってくるのだが、周囲が煩すぎてちっとも聞こえない。こればかりはホテルで見ていたほうがよかったかもしれない。
観客の声援はもっぱらフェラーリに向けられていた。マクラーレンもウィリアムズも、敵、らしい。どちらもドイツ系のメーカーと組んでるのに。もっとも、この日いちばん敵視されていたのは、ジョーダンだった。仕方ないのかもしれないが、ヤーノがスピンした途端の大歓声には苦笑い。その他、ミカのスローダウンも、JPMのトラブルも、DCのブローも、大歓声。そのうえミヒャが止まったら最後、その場の緊張感はきれいさっぱり消滅し、席を立つ人すら現れたのは、さすがは地元、というべきか?(でもまだラル坊走ってるんだけど…;;)
TVはリタイヤした後もミヒャエルを追うことを止めず、リタイヤ直後のコースを睨みつける厳しいまなざしを映したかと思えば、DCが止まった途端のすっかりゴキゲンな笑顔もばっちり捉えていた。さらには、終盤、ラジオを左に抱えこんで耳に押しあてて一心不乱に聞いている姿も。
ラルフの優勝は、これもチームラジオが入ったのだが、まったく聴きとれず惜しいことをした。
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パルクフェルメは、非常に楽しかった。
ラルフがなにやら覚束ない表情で立ち止まってきょろきょろしているな、と思い、まさか兄ちゃん待ってたりして、と冗談でメモに書いたら、どうやら本当だったらしい。あきらめたようにポディウムへ向かう弟を認めた兄ちゃんは、いきなりピットレーン走り出すし。
私はめちゃくちゃウケていたのだけれど、周囲を見るに、どうやらあの兄弟にはあたりまえの行動と思われているのか、皆様平然となさってました。(私もまだまだ修行が足りないわ…)
レース後はトッドのインタビュー。ベルガーは満足げなとてもいい表情。そしてニックが、もう着替えてスタジオに来て俄か解説をつとめていた。スタートからはじまって、主なアクションすべてについて、ニックが説明していく。そのあと、スタジオにはハウグさんも登場。ミカのトラブルに関して、VTRとともに説明していた。あとで、ミヒャエルのインタビューも流していた。
それにしても、とふと思う。
ドイツ人の皆さん、ミヒャ第一、なのはよーく判るけれど、次にくるのがルビーニョらしい、のがいまいち理解できないというか…(単純に私が不満というか。)