◆◇ Visit to Michael Schumacher
Kart-Center ◇◆
● 至福のひととき
MSスポーツバーへ上がる階段の壁には、大きなパネルがかけてあって、ミヒャエルの記事や写真の切り抜きが飾られていた。しかしこれはまだ序の口。階段を上りきってバーに一歩入れば、息を呑む光景が待ち受けている。壁一面を埋めつくす、たくさんの額縁。数え切れぬほどのミヒャエルの写真。幼い頃、若い時分、グランプリデビュー、初優勝、初戴冠。ミヒャエルの歴史が、そこにあった。圧倒される。と同時に、とても懐かしいような、優しい気持ちが押し寄せた。
ミヒャエルは、確かにこの地のひとびとに愛されている。
地元の英雄を祀りあげている、という印象はあまり受けなかった。そこに垣間見えるのは、この地で育ったレースをこよなく愛するひとりの男の歩みであり、その男の存在をただ誇らしくいとおしく見守るひとびとの暖かい視線だった。
++ スポーツバー内の様子 ++ |
@ 内部全体像 全3ページ |
A 店内写真 全2ページ |
※別ウィンドウが開きます。かなり重めですごめんなさい。m(_ _;)m |
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レースが始まる前に腹ごしらえを、と、見物は後回しにしてバーで食事を注文する。事前に聞きかじっていたとおり、メニューがなかなか楽しかった。(こちらで見られます)
矯めつ眇めつした結果、無難にシュニッツェルを注文する。確か4.50DMかそのくらいで、当時のメニューの中ではいちばん安い食事だったのが決め手となった。もともとあんまりお昼をしっかり食べる質ではないので、きちんとした食事よりは軽食っぽいものを、と思ったのだ。
しかし、やがて届けられたものを見て仰天。皿は一枚なのだが、直径30センチはゆうにあった。そのうえには、オリバー・カーンの手のひらほどもありそうなシュニッツェルが2枚に、温野菜とサラダとトーストが乗っかっている。お、多すぎ・・・。頑張って全部食べたが――食物を残すのはものすごく苦手なのだ――、さすがに苦しかった。
味は、及第点といったところか。特別おいしいわけではないのだろうが、何せ英国暮らしが長かったため、この値段でこの食事は大サービスだ、と間違った感想を抱く。ドイツは食事が本当にリーズナブルで、英国の半額でマトモな献立がたっぷり食べられる、ということは、この旅行でつくづく思い知らされた。日本から行ったならまた違った感想を持つのかもしれない。
飲物は、当然のようにビールだった。実は私はビール――いわゆるラガーといわれるもの――がかなり嫌いで、英国にいてもせいぜいギネスかエールをたまに飲むくらいだったので(基本はスコッチでした;;)、ドイツに行くにあたって覚えた言い回しは“eine
Tasse Tee, bitte”、すなわち「紅茶をください」。だが実際に3日間のドイツ滞在で使ったのは、ひたすら“ein Bier, bitte”。昼食も夕食もちょっとのどが渇いてスタンドに立ち寄っても、「あいん・びあ・びって」。たぶん私の一生でもっとも頻繁にビールを口にした週末だっただろう。(うーん、でもあの気候にあの味はやっぱりとても合っていたと思うのです)
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