● 渋滞、駐車場その他車関係。
渋滞はいちばんの懸案事項だったのだが、あっけなく解決した。
3日間通して、宿からサーキットまで、渋滞らしい渋滞に嵌ったのは、シルバーストーン村から旧A43を経て駐車場までのほんの僅かの区間だけで、しかもちゃんと流れていた。渋滞区間を抜けるのに要した時間は、せいぜい5分ほどではなかったろうか。地元警察の誘導もしっかりしていた。
ここ数年のインフラ整備は、かつてのこの地を知る人間にとっては目を疑うほどの進歩だ。旧A43(シルバーストーンにむかう主要道路)は2車線対面の田舎国道だったが、ノーザンプトン〜ブラックリー間にバイパスとして片側
3車線の新A43が完成し、そこからサーキット正門(西4エントランス)までの道路も拡張されていた。砂利敷きのこじんまりした正門前の駐車場は、広々と見晴らしのいい舗装駐車場になっていた。この一連の設備投資が、渋滞緩和に役立っていることは疑う余地もない。それでも道が混むのは、車以外の交通手段がない以上、仕方がない部分でもある。
要は、不満の大小の差は、事前に発表される交通情報にちゃんと目を通しているか否か、の差でもあるだろう。どこからどこまで規制がかかっていて、どこだったら抜け道になりうるのか、前もって調べておけば何の問題もない。古今東西、何処も同じ。
英国人の脳味噌には迂回路という考えかたがまるで存在しないので、毎年発生するトラブルの主たる原因はそこにあるという気もする。
天気が比較的落ち着いていたので、駐車場もトラブルフリーだった。
イギリスGPでは、F1レベルの大きなレース開催時の駐車場はすべて臨時である。普段は柵と生垣と鎖のついたゲートで仕切られ一般の立ち入りを禁じられている草地が、数日間だけ駐車場兼キャンプ場へと化ける。ただしこの草地、実をいえば放牧地なので、足元に気をつけないと危険(笑)
臨時駐車場はサーキットをとりかこんで幾つも配置されている。GP用の地図を見ると、コースの外側は全部駐車場か森か、といったかんじ。早めにチケットを申しこむと、もれなく申しこんだ日の駐車券がついてくるシステム(英国GPではチケットは各日別売りになっている)で、こんなところからも、シルバーストーンが車なしでは辿りつけない立地をしていることが判る。
ほぼ駐車場毎にゲートがあり、GP時はサーキットの四方八方から入場できるのが便利。(テストや小さめのレースではメインゲートしか開いていないので注意が必要です)
駐車券は全日程分の枚数が必要。駐車券がないと、せっかくサーキット近くまで辿りついても、駐車を認められずUターンする羽目になる(当然、路上駐車は不可)。申し込みが遅すぎて駐車券が確保できなかったときは、おとなしくパークアンドライドを使いましょう。

←日曜日の駐車券。
サーキットに近づいたらこれを車のフロントガラス(内側)の見えやすい位置に提示しておく。このステッカーをつけていない車は、駐車場に入ることはできない。
裏側に、"WARNING!Motorsport can be dangerous"という表示があるが、これは英国でモータースポーツのチケットを買うと必ず記載してある文句。「主催者は妥当な安全措置を事前に講じていますが、避けられない事故はいつでも起こりえます。来場は自己責任にてお願いします。」と続く。

駐車場は、別名キャンプサイトでもある。英国はキャンピングカーがポピュラーで、普通に高速道路を走っていてもぞろぞろ行き会うし、後ろに連結する居住部分のレンタル会社まである。
渋滞を避けて薄暗いうちにサーキットまでやってきた彼らは、高々と応援するチームの旗やユニオンジャック、セントジョージズクロスを掲げ、テントを設えて、バーベキューに興じる。酌み交わされるエールと笑い声。その向こうに丘と林とがなだらかに続く。
日曜日の夜、まばらになった車影のなか、細々と最後のキャンプを楽しむ煙が夕闇に立ち上っていく光景が、風情豊かだった。
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