フランスGPの追記
July 2002
 


フランスGPの雑記で書ききれなかったことをちょろちょろと。思考の裏側をちょっと暴露。


最近のミヒャについて。

「よくここまで誤魔化して引っ張ってこれたよな、と思うよ。」

某・知人の、先日の電話での科白。彼は以前、一緒に仕事をしたいドライバーNo.1に断然シューマッハー、と答えている(ちなみに私がミヒャ・ファンであることは教えていない)。
これを聞いて、諦めにも似た思いが湧き起こった。
コンディションを調えるのはプロの務め、と言い切ってしまうのは簡単だが、10年もの間ベストの状態を維持しつづけるのは、素人目にも並大抵の努力ではない。だから、そろそろ「お疲れさま」と言うべきなのかもしれない、と。

本音を言えば、目も眩むようなあの走りをもう一度見たい。95年ベルギーや98年ハンガリーの、爆発しそうなほど高鳴っていた鼓動は今でも克明に覚えている。一度だけでいい、それをまた味わいたい。
けれど、時代は流れていく。着実に、望むと望まざるとにかかわらず。4年前、7年前と同じことのできる人が、はたして世の中にどれだけいるだろうか?
時とともに人は変わる。33歳の彼に20代半ばの走りを要求するのは酷というものだ。

ここ数戦、ずっと胸の片隅に凝っていたものが、フランスで泣いて少しすっきりした。答えはまだあやふやだけれど、それでもひとつだけ、心に決めた。
私は、今の彼の姿をも受け入れよう。少なくともそう努力しよう。
なぜなら、それもまた間違いなく、ミヒャエル・シューマッハーであるのだから。

比べる対象は彼の最盛期ではなく、現在の彼の状態。ハードルをそこまで下げてみれば、今回のフランスGPは上出来の部類に入る。悔しくても、認めなくては。
そんな想いを胸に、雑記を書いた。思いのほか素直に、彼の5冠を喜び祝福することができた。
エンディングの映像を見ながら泣けてきたのは、ほんとうは、これが最後と覚悟したからだった。

願わくば、いま、あなたが幸せでありますように。
その幸せが可能なかぎり長く続きますように。

そして、私の覚悟が今しばらく、無用の長物となりますように。

26/07/02
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