◆◇ Visit to Michael Schumacher Kart-Center ◇◆


● おまけのこぼれ話あるいは蛇足。

ミヒャエルの名前の発音について。
TVでは誰も彼も、『ミヒャイル・シューマハー』。宿泊したホテルのバーテンさんとカートセンターのショップのおばちゃんは、『ミシャイル』だった。ドイツ語の“e”の発音が、前後の綴りによって『エ』よりはずっと『イ』に近く聞こえるのは、合唱をしていたときの経験則として知っている。
“cha”は、レース後半加わったニックの発音も、『シャ』に近い音だった。ということは、ここいらあたり(ドイツ北西部)の訛りがこうなのかしら?
(どなたか御存知の方、教えてくださいませ)

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無駄足踏んで街角散策。
ヨーロッパの夏は日が長いので、ケルンに戻ってもまだ全然明るかった。予定していた買物の趣旨は、ミヒャエルグッズ探訪だったのだが、当然そこいらにごろごろしているだろうと甘く見ていた『ミヒャエルの本』がなかなかどうして見つからない。駅のコンコースにある書店には何もなく、ホーエ通りをずっといったところでようやくもう一軒の本屋を発見したけれど、ここもあまりモータースポーツコーナーは大きくなかった。しかも気をつけたほうがいいのは、クリストファー・ヒルトンのドイツ語訳なんかがあるところ。
繁華街を歩き回った揚句、他に本屋を見つけられなかった私は、結局その“Mayersche”という書店で3種類の書籍を購入した。何しろドイツGPの週末なのだし、もっといろいろ雑誌なんかも出ているかと思っていたのに、すっかり肩透かしをくらってしまった。
(それ以外にも、街中でシューマッハー系のモノはまったく見かけませんでした)

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ケルンの食事情。
ホテルは朝食のみであとはバーがあるだけだったので、食事は基本的に外で食べた。昼食は主にパン。夕食は、ソーセージとザウアークラウトとビール、といったかんじだった。
英国と同じく食事は簡素だが、英国なんぞとは比べ物にならないくらい安い。安くてボリュームがあって、しかもおいしい。
重宝したのは、ケルン中央駅のコンコースだった。様々な店が入っており、食事はもとより、旅行者ならほとんどの買物がここで済ませられそうだ。私はこのなかのパブ風のスタンドが気に入っていた。おしゃれではないが、手軽な食事ができる。難点は英語が通じないことだが、しかしこれは街中どこへ行っても同じ条件。

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シューマッハー応援歌。
カートセンターで購入したミヒャエルのチャンピオン記念CD、“Der Champ”。ロンドンに帰宅するなり早速聞いた。
収録されているのは4トラックだが、曲そのものは一緒だ。バラード風のゆったりした曲で、リズム感のあるスポーツ選手の応援歌っぽいものを想像していたので少々驚かされた。‘THIS SIDE UP’というのが、歌っているバンドの名らしいが、よくは解らない。
歌詞は、ドイツ語2曲とイタリア語1曲とカラオケバージョンで、歌詞カードが入ってないので意味はちんぷんかんぷんだった。「シューミ、シューミ」と呼びかけで始まってることくらいしか。
別に、それだけのものなのだが、何度も繰りかえし聞いているうちに、なんだか無性に笑いたくなってきたのはどうしてだろう? 少なくとも、いやに耳に残るメロディであることは確かだ。
ところで、ドイツ語の聴き取りに自信のある方、ぜひ管理人までメールを。テープを差しあげますので、意味を教えてください。(苦笑)

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スパ。
ブリュッセル〜ケルン間を移動する途中、列車はアルデンヌの山中を抜ける。かの有名なスパ・フランコルシャンがあるところだ。
列車からスパが見えるとか案内表示があるとか、そんなことはまるでない。けれど路線で山がちなのはそこだけなので、通りかかればいやでも気持ちがそちらへ向く。ちょうど、リエージュとアーヘンの中間、ややリエージュ寄りにヴェルヴィエ(Verviers)という町があり、そこがスパへの入口だ。
通りかかった折も折、空は曇天、今にも雨粒が落ちてきそうなスパ・ウェザー。一ヶ月後の山の向こうに思いを馳せた。

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ミヒャエルの故郷を訪ねるということ。
訪ねる前と後で、自分の中の何が変わったということもないけれど、それでも行ってよかったと思う。ただ、どうにも不思議な気がするのは、あんな何もない片田舎から、ミヒャエル・シューマッハーという稀代のドライバーが生まれたという事実。そしてずっと離れた極東に生まれた私が、どういうわけかその彼にこんなにも惚れこんでしまい、その地を歩いてきたという現実。
旅行のきっかけは、ビザの更新のついででしかなかった。それでも、そのとき咄嗟に、ケルペンに行こう、と思った。その原動力が何だったのかは判らない。それでもその地名には、私を駆り立てる何かがあったのだろう。
素朴なその風景は、私にとってはただ愛しく懐かしい思い出となった。

終。

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