● プログラム構成とゆとりの関係?

2003年英国GPのプログラム詳細はこちら

今年からのレギュレーションの変更で、金曜の朝に2時間のテスト走行が組みこまれた。が、「どーせ見るべきものはルノーくらいでしょ」とたかを括り、宿出発はけっこうのんびり。そのくせ、30分の道程の最後の最後でちょっとした渋滞(駐車場の入場待ち)にひっかかっている間に、ぷあーっ、という懐かしい音――コースオープンを知らせる警報――が鳴り響き、次々とコースインしていくエグゾーストが朝の冷たい空気に響きはじめると、ステアリングを放りだして駆けつけたい気分に駆られるのだから、始末に負えない。所詮は根っからのF1馬鹿なのだ。


予選は、ご贔屓をゆっくり眺められる余裕ができた。ご贔屓がぞろぞろいる自分は、慌しい予選よりも、ひとりひとりの走りに全神経を集中できるシステムはまぁ悪くない。そのかわり興味のない相手の出番になると一挙に気分がだらけるが、そのひとをこそ待っていたお客さんもいるだろうから、おあいこだろう。
とはいえ、予選中に居眠りをしている不届き者(苦笑)を多く見かけたのは、ここが英国だから、というだけではないような気もする。ちなみに、かくいう私も立派に不届き者である。
たったひとりに入れあげて他を見向きもしない一途なファンなら、そもそも何台走っていようが本命しか見ていないだろうから、きっと従来の予選方式のほうが楽しめたのではないか、というのが全体的な感想。
日曜日の空のいろ。

予選後はマシンが仕舞いこまれてしまうため、とくに見るべきものもなく、日曜朝はドライバーズパレードまで完全に暇。はじめての海外GP、時間はいくらあっても足りないから、ちょうどよかった。
空き時間をつかって、サーキット中の探検をしてみる。これまで歩いたことがあるのは、パドック周辺とコプス・アビーくらいだったから――テスト見学の時は時間がもったいなくてパドックをあまり離れられなかった――、金曜の予選後はここぞとばかりにストウまで遠出。土曜日の午後は、中央エリアをうろうろと散策。ふと気が向いたらそのへんの草地に寝っ転がって、空を見る。サポートレースのエギゾースト、風の音、太陽の恵み、どこまでも深い空の色。
ああ、英国だ。えもいわれぬ幸福感が満ちた。


サポートレースがたくさん詰まっているのは、もしかしたら英国の伝統なのだろうか。F3のときも――あれは本当はメインはBTCCでF3こそがサポートレースだったが――1日に4つも5つもレースがたてこんで、プログラムが押せ押せになることがしょっちゅうだった。
F1では、プログラムの変更はありえない。すべてきっちり時間が決まっていて、遅れることなどあってはならない。それでも、今回のサポートレースの数、4つ。
F3000、マセラティ、ポルシェカップ、ヒストリックカー・レース。3日間あわせて正味8時間近く。これがF1のタイムスケジュールの合間合間にぽろぽろと挿入されている。オーガナイザーの腕のみせどころといったところか。
外から見ていたかぎり、プログラムに支障は出なかったようだ。もちろん、レースは闖入者のおかげで若干伸び、その後のヒストリックカー・レースとグランプリパーティ(有体に言えばチャリティ・ロックコンサート)の開始がそれぞれ少しだけ遅れたが、日没は午後9時だから、まったく問題なし。


なんだかんだで、非常に暢気な3日間だった。レギュレーション変更によるものか、単にこちらがグランプリ慣れしてきただけか、それとも周囲の雰囲気に感化されただけか、さて、答えはどれだろう。



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