トルコGPの雑記_
August 21, 2005
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月曜日に一日だけのささやかな夏休み(GPを意識したわけではなく全くもって偶然の産物)を取っていたため、初開催トルコは予選・本戦ともに映像で観た。
以下、恐ろしいまでの箇条書き感想。


* イスタンブール・サーキット。

…おもしろいじゃあないか、というのが初感想。
ティルケ氏のデザインした一連のサーキットの中で群を抜いてると思う。予選でもレースでも見所がしっかりあって、油断できない箇所が複数あって、実を言えばこんなサーキットで一人のドライバーが周回を重ねる毎にライン取りを工夫していってベストタイムを叩きだす、という形式の予選が私は何より好物なのだけれども。(笑)
難点は風の強さと、埃っぽさだろうか。
英国人関係者のトルコGP評が随分高いが、一般に英国人はトルコという国に親近感を持っている。夏のバカンス目的地としても大人気。また、英国のタクシー運転手の多くが実はトルコ人だ、という背景もあったりする。
両国の歴史とか(アラビアのロレンスとかね)も考えてみると、ちょっと面白い。


* 予選。

ミヒャエルとジェンスの予選については、「まあこんな日もあるさ」と比較的さばさばと受け止めた。ついうっかり放映より先にグリッド順位を見てしまったので(つまりそれまでGPのあることをすっかり忘れ去っていたとも言う)、自然、放映を見る時点でのスタンスは、「何がどうなってああいう顛末になったのか?」というものだった、という理由もある。ああ、成る程ね、というのが偽りない感想だった。
ミヒャの場合、むしろ「これで面白くなった!」とにんまりしてしまった。彼に関しては肩の荷がおりていることもあり、とにかく気楽でいられる。かつての胃痛が嘘のようだ。
……だって、まさかレースであんなことやらかしてくれるとは思わないしさ…。
(でも、オープニングラップ9台抜きは流石だと思う)
ジェンスの場合、そこまで入れ込んではいないので(少なくとも今のところ)、彼の所為で体調崩したり涙腺緩んだりといったことは起こらない(少なくとも今のところ)。


* ミヒャエルのクラッシュ。

双方言い分はあるだろうから、こういうときは深く考えない。いちいち考えてたらミヒャのファンなんてやっていられない。今更ドライビング関連でぎゃんぎゃん言われても傷つく余地もないし。…慣れすぎるのもどうかと一瞬思いつつ。
地上波は、ガレージに戻るミヒャエルの映像に重ねて、「昔だったらこんなやる気のない姿は見せなかった」とコメントしたが(その後、ピットレポートで「まだ出るつもりで修理中」というレポートが入った)、そういうことは毛ほども考えつかなかった。「ミヒャがガレージに戻る」=「ミヒャでも走れないトラブルが発生している」、という自動思考。(ドライブシャフトがイカレたかな、と思っていた)
10年以上ファンをやってきた感触として、ミヒャエル・シューマッハーというドライバーの傾向は、「途中で放り出すくらいなら最初から乗らない」という気がするのだ。簡単に諦めない、からこそ、彼は今の地位と名声を手に入れることができたのだから。
(フェラーリの公式リリース(ミヒャのオフィシャルHPでも同じものが掲載されている)を見ると、「ダメージを何とか直そうとした」ことがはっきり書かれている。)


* チームオーダーについて。

ルノーの「チームオーダー」についてデ・ラ・ロサが騒ぎ立てているが(Autosport-Atlas報道)、ルールはルールとして、基本的に私は「チームオーダー有り」の立場であり、まずそんなルールの存在自体がどうよ、と思ってしまうので、「その程度のことでガタガタ騒ぐでない」、というのが実感。
チームの利害を考えれば、あの場面でのオーダーというのは非常に理に適っている。逆に、四角四面にルールを守ってみすみすチャンスを逃すようであれば、私は容赦なく莫迦だと言うだろう。といって、ルールが存在する以上、丸無視するのはやはり宜しくない。そのへんは大人の世界の常識でもって、「譲れ」という一言を絶対に口にしない、という最低ラインの詭弁を用いればOKではないかなと、個人的には考えている。
ただ、おいおい、と思ったのは、地上波コメンタリーがルノーの「オーダー」時に、「チームオーダーはレギュレーションで禁止されているからアレはどうなんだ」と疑問を呈するようなコメントをしておいて、対象がジェンスと琢磨になったとたん、「琢磨のほうがペース速いのにジェンスが譲らないのは良くない」、と言ったのは、それこそ「そりゃどうなんだよ」と申し上げたい。
上記のとおり私はオーダー容認派だけれども、ドライバーがオーダーを受け入れるか否かはドライバー次第、という立場でもある。(そのぶん、一旦自分の判断で受け入れたオーダーなら後からグダグダ言うんじゃない!という立場を取る。) 
なので、今回ジェンスが譲らなかったことも、フィジコが譲ったことも、それぞれ本人の判断を尊重する。


* その他。

JPMの件は、「仕方ない」で済ませてあげるべきかとも思いつつ、「それはやっちゃあならんかったでしょ」という気分は否めない。ただ、キミとしても、「今回のようなことがあったからタイトルが獲れなかった」という言い訳は通じない。少なくとも私は認めない。
結局、困ったときのチームメイト頼みでは、タイトルは獲れないのだ。自力で獲らなければならないのだ。それが、あの長く苦しい年月に私が学んだこと。
レッドブルがちゃっかりまたポイントを獲得しているのが何か我が事のように嬉しい。予選ではチームメイトに負けたDCも、レースではちゃんと前のポジションを確保していたし。地味でいいので着々と積み重ねて欲しいなあ。


* 全体的な感想。

何にせよ、チャンピオンシップ争いが幾ら白熱したところで、所詮は対岸の火事なので。
手放しで見ていられるというのは何と気楽なのだろう、とひたすら楽しんでいた。



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