アメリカGPの雑記
Sep 28 2003
 
 

データ参照>>>ATLAS F1

"I was not completely surprised to be at least amongst the first three because I knew from where I started I could make up some positions. I felt I was strong in the race."
   Michael Schumacher, at the Post-Race Press Conference

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レース中の路面コンディションとラップタイムの変動をお手製の表にしてみる。
第2スティントの計算結果に、目尻が下がった。

2周目から降りだした雨は、8周目にいったん終息し、10周目あたりには路面はだいぶ乾いていた。ふたたび水滴が目立ちはじめたのが17周目前後、あっという間に雨脚は強まり、20周目〜各車タイヤ交換に殺到する。この前後のタイミングが、確実に勝敗を決した。

各者のコメントやラップタイムから推測するに、雨用タイヤでないと走れないと各チーム関係者(含ドライバー)が判断したのは、トップが20〜21周目にかかったあたりではないだろうか。メモには、20周目の箇所に「うわ、ピット大雨」と記されている。
ここでピットインするマシンが多いため一概には言えないが、たとえばすでに15周目に1回目のピットストップを終えドライタイヤで走っていたラルフのタイムは、前周回と比較して20周目にはコンマ5秒、21周目にはさらに+10秒のロスを喫した(その後スピンアウト)。DCのタイムも、L19=1:13.763、L20=1:14.275、L21=1:26.999、と10秒以上落ちこんでいる。21周目に通常走行していたマシンのタイムはおおむね1分20秒台半ば(JPM除く)で、トップタイムは19周目に思い切りよくインターミディエイトに切り替えたハインツ・ハラルトの1:21.452だった。

BSのインターミディエイトとMIのレインタイヤとの性能差は、両者のタイム比較から明らかだ。1周につきコンスタントに1〜2秒の開きがある。29周目頃に雨が止んでからは、なおいっそうのBS独壇場だった。知人に確認したところ、インディアナポリスは水はけがよく、雨が上がってから路面がすっかり乾くまで、要したのはおよそ10周。乾きはじめた路面は摩擦熱をはらみ、熱に弱いMIのレインタイヤを痛めつけた。BS勢が3回目(ルーティンの2回目)にピットインしたのが44周目(フィジコ)〜51周目(ハインツ)なのに対し、MI勢はもっとも早いウィルソンが32周目に音を上げたあと、アロンソが36周目、モントヤ38周目、いちばん最後まで我慢したトゥルーリでさえ42周目にたまらずピットに飛びこんでいる。
ふたつのメーカーの差は、実質的なタイム差にとどまらず、タイヤ交換のタイミングを計る段階ですでに影響していたとみていい。BSは雨天に自信があった。切り換えるのをためらわなかった。MIにはBSほどの自信がなく、躊躇した。その根拠は、続く20周の間に誰の目にもあきらかな形で裏付けられた。
17周目、トップのキミに10秒遅れていたミヒャエルは、40周目には逆に20秒近く突き放す。およそ20周の間に稼いだタイムは、30.522秒だった。

コンディションが荒れれば、ミヒャエルの天下。レース前にぼんやり思いながらも、はっきりそうと断じきれなかったのは、今年のブラジルGPがあったればこそ。借りはかえした。ほれみなさい、とこれでようやく言える。


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DCは何をやりたかったのだろう。「賭けに出たけど読み違えた」と本人は語るが、序盤のトヨタを別にして、2回目の降雨時のみをみれば、読み違えたのは彼ひとりだ。ベテランのやることとも思えぬ。
スタートを極め、前半いいペースで走っていたのにもかかわらず、せっかくの2位走行を自らフイにした。たしかに路面が乾いてからはいちはやくタイムを上げ、リタイヤ直前はミヒャやJPMをさしおいてトップタイムを叩きだしてはいるものの、降雨中に1周あたり1分30秒以上も費やした挙句15位まで落っこちていては、本末転倒もいいところ。

JPMは、元気のいいのは構わないが、時と場合をわきまえるべきだった。あるいは、タイトル争いの重圧に負けたのか。予選時から、どうにも「かかった」状態(@競馬)のように思えていたのは、勘違いではなかったのかもしれない。悪い意味で若さが出てしまった、と言ってもいいが、ちょっとまて君はCARTのチャンピオンじゃなかったか?

そんなわけで、今回の『駄目で賞』は、このふたりに御進呈。(要らなくても返品不可)



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